お客様とのコミュニケーション
お客様から信頼されていれば、プロジェクトを進めやすくなります。そこで、信頼を獲得する為の、お客様とのコミュニケーションについて書かせて頂きます。
ある業務システムのプロジェクトで、お客様と画面デザインについて打合せをしていた時のお話しです。お客様から出てきた画面イメージの資料(紙の資料)に業務システムのロゴのようなものが書かれていたので、デザイナー(弊社パートナー)がお客様へ「ロゴのデータを下さい」と申し上げたところ、お客様が「何かテキトウにロゴを考えてよ」と仰いました。ロゴのデザインは見積りに入っていなかったのですが、お客様としては、デザイナーだったら「テキトウなロゴ」であれば1時間位でできると思われたのでしょう。しかし、デザイナーにとってロゴデザインはテキトウにはやりたくない仕事であり、ちゃんとやろうとすれば、それなりに工数が必要な仕事になります。
どう対処したかと言うと、弊社で費用を負担して、デザイナーにロゴの制作を依頼しました。費用の事はお客様には伏せてあります。重要なのは、お客様の気持ちを受け止める事です。ラスターワークスならクリエイティブな仕事をしてくれるだろうと言う期待もあるでしょう。「ロゴのデザインは見積りに入っていません」と言ってしまうのは如何なものかと思いました。きちんと伝える事も重要ですが、全てにおいて四角四面にやるとぎくしゃくするので、柔軟さも必要です。
また、このプロジェクトで、UI評価をして頂いた時のお話しです。実装・単体テストが終わり、結合テストに入る前に、UI評価をしてもらいました。通常は、結合テスト前の不完全な状態でUI評価をする事は無いのですが、お客様のUIを良くしたいと言う思いが強かったので、早目に味見してもらう事にしました。よかれと思ってやった事なのですが、お客様から「単体テストレベルのバグが残っている」とお叱りを受けてしまいました。
このプロジェクトでは、コストとのバランスを考え、単体テスト仕様書を納品物とせず、単体テストの一部を結合テストの第一段階に盛り込む形にしました。したがって、この段階で「単体テストレベルのバグが残っている」のは仕方がない事なのです。バグは残っているものの「実際に動くプログラムで、早目にUIを見てもらいたい」と言うのが今回の狙いでした。まず、これらの事をお伝えしました。しかし、バグが目に付いた事で不安を感じた、と言うお客様の気持ちも受け止め、単体テストを強化します、ともお伝えしました。
お客様とのコミュニケーションに関し、2つの場面を例にお話ししましたが、ポイントは、お客様の気持ちを受け止める事だと思います。そうする事で「このベンダはうちの役に立とうとしてくれている」、「このベンダはうちの味方である」と思ってもらえ、信頼を勝ち取る事ができるのではないでしょうか。
石躍