クリエイティブはスケールしにくい
中小企業向けコンサルタントの矢田先生(矢田祐二さん)は、外部の業者に仕事を依頼する際、「創造的な仕事は、情熱を持つ個人に依頼し、量のある作業は、安定した組織に依頼すべきである」と仰っています。私もそう思います。システム開発の場合、個人に発注するのはリスクがありますし、対応できる規模にも制約があるので、矢田先生の言葉を少し言い換えると「創造的な仕事は、情熱を持つ小規模な開発会社に依頼し、量のある作業は大手の開発会社に依頼すべきである」になるかと思います。弊社は前者です。
周囲を見渡しても、新しい技術をキャッチアップして、素早く0から1を創り出すのは、小規模な開発会社の方が得意なように見えます。弊社も、あるお客様(東証一部)のDX推進のお手伝いをしていますが、初期開発は弊社が担当し、その後のエンハンスは大手の開発会社が行うと言った形の役割分担をしています。また、別のあるお客様(東証一部)のレガシーシステムオープン化でも、初期開発は弊社が担当し、その後の保守・運用に関しては大手の開発会社が行う事になっています。
小規模な開発会社は、社長や技術リーダーの、良い成果を出したいと言うこだわりが強く、採用も厳選していますし、一人一人を丁寧に育て、活かそうとしています。規模の拡大より、質の追求を重視しています。全員が0から1を創り出せる優秀な技術者である事を目指しているので、結果的に個人の能力に大きく依存する事になり、スケールさせるのは難しくなります。
一方、大手の開発会社は規模の維持・拡大を重視した経営をしています。特定の言語に特化したり、特定のパッケージの導入・エンハンスに特化したりします。また、高いスキルを必要とせず、規模を確保できる案件を受注したり、一人前になる迄は、SESで常駐に出したりします。このように、そこそこの人材でも訓練で成果を出せるような仕組みを持っています。全員が0から1を創り出せる優秀な技術者である事は目指していません。しかし、人数が多いので、組織として安定感があります。
弊社も設立当初は規模の拡大を目指していましたが、質の維持が難しいと感じ、現在は規模より質を重視しています。そして、規模への対応が必要な時は、情熱を持つ小規模な開発会社と連携するようにしています。設立して20年近くになりますが、クリエイティブな仕事をスケールさせるのは、難しい事であると強く感じています。矢田先生は、「規模を大きくしたければ、社内からクリエイティブな仕事をなくしなさい」と仰います。考えさせられますね・・・・
石躍